東芝のウルトラブック dynabook R631 R632

ウルトラブックという枠に凝縮された、dynabook


【概要】

■Ultrabookとは

 R631/R632(以下R63xシリーズ)と言うと必ず登場するのが「Ultrabook」というキーワード。

 コレはIntelが発表したモバイル戦略のコンセプトであり、具体的な規格ではない。

 「Ultra Thin」……超薄型

 「Ultra Responsive」……ムチャクチャ反応が良い

 「Ultra Secure」……とってもセキュリティ

 「Long Battery Life」……バッテリーでの長時間駆動

 「Smart Visual Experience」……シビれる見た目のカッチョ良さ

 端的に言うと、Macbook Airみたいなパソコンを言う。

 市場シェアの40%をコレにすると鼻息荒い。

 開発支援のために、3億ドルのUltrabook基金まで設立してしまったぐらいなのだ。

【特徴】

驚きの薄さ

 薄くするためにR63xシリーズでは、メモリやバッテリの交換を不可能にした。
 もちろん、内蔵ストレージの脱着も不可能で、光学ドライブも内蔵しない。

 ハードディスクモデルは存在せず、全機種SSDによるゼロスピンドル。

 そうやって実現した値が8.3〜15.9mmという圧倒的な薄さ。

 R73xシリーズと同じ13.3インチ液晶だが、R731およびRX2と比較すると、意外な事が分かる。

RX2   283mm(幅)×215.8mm(奥行)×19.5mm〜25.5mm(高さ) 858g〜1053g
R63x  316mm(幅)×227.0mm(奥行)×8.3mm〜15.9mm(高さ) 1.12kg
R73x  316mm(幅)×227.0mm(奥行)×18.3mm〜26.6mm(高さ) 1.39〜1.49kg

 設置面積は同じ13.3型液晶を搭載したR73xシリーズと同等で、圧倒的な薄さにより軽量化しているが、実はRX2よりは重い。

安全性はどうか?

 指紋センサー、BIOS・HDDパスワードがある。TPMセキュリティチップが無いことに注意。

 TPMの機能が必要ない人にとっては、特に意識する必要はない。

長時間駆動

 超低電力版CPUを使っていることもあり、約9時間駆動が可能。先でバッテリ交換できないので劣化が不安だが、当分はACアダプタを持ち歩く必要性は無さそう。

流行に乗ったデザイン

 拡張性を犠牲にしても薄くしたかった。

 どうもその視点の先にAirMacの影がちらついているような気がしてならないが、流行物路線に乗った感はある。
 薄くて、タイル状のキーボードをバックライトで光らせたりできる(※シャンパンゴールドモデルは光らない)所など、見た目重視だねと思う。

 軽量化を優先している割にステレオスピーカーは付いていて、AV性能も多少意識していたりする。

【共通仕様】

■メモリ

 メモリは4GB(2GB+2GB)交換不能とのこと。増設できない点がやや不安。

 現段階で問題になることは少ないと思うが、長く使う上では相当の足かせになってくることが考えられる。

 もっとも、メモリ専用スロットが1スロットあるらしいので、猛者は将来的に開腹してメモリ交換にチャレンジするかもしれない。人柱の登場を待ちたい。

 ただ、その頃にはバッテリーが摩耗してしまうなどして、次のパソコンに切り替えられてしまうかもしれない。

■ディスク

 128GBのSSDである。使い込んでいく上ではやや心許ない。

 不格好だが、外付けHDDを装着する日も近いだろう。

■インターフェース

 USB3.0が右側面に1個と、背面にUSB2.0×2とHDMI及びVGA(D-Sub15ピン)、GigabitEtherも1個。

 無線LANは802.11n対応。

 SDカードスロットはSD/SDHC/SDXC対応。xDやマルチメディアカード、メモリースティックは非対応。

 必要にして十分な構成だと思う。eSATAやExpressCardも省かれている点は、通常は気にならないが、一応注意しておく。

 なお、東芝USBスリープアンドチャージユーティリティを使うことで、パソコンがスリープ状態でもUSBに給電することができる。内蔵バッテリーをスマートフォンや携帯オーディオ機器の駆動に使うことができるようになる!

■液晶

 13.3型1366×768のワイドHD液晶。今時のパソコンに珍しく、非光沢液晶。バックライトはLEDだ。

 悪くはないけれど、1600×900ドット等の高解像度モデルがあってもいいのではないかと思ってしまう。

 採算性の関係で、高解像度は見送られたとのこと。残念。

■キーボード

 R73xシリーズと同様のアイソレーションキーボード。但し、ストロークが無い。キータッチはそれなり。

 シルバーのモデルはバックライト付き。

 個人的には、液晶ディスプレイの明かりで多少手元が見えると思うのだが、キレイなのは事実。

■バッテリー

 9時間連続駆動ということになっている。バッテリーは交換できないので、バッテリーの寿命が尽きた時点で、このPCのモバイルPCとしての価値は激減する。

 中古で入手するときは注意が必要。

■AV機能

 WMV動画の超解像機能が付いた。内蔵のHDMI端子でテレビに繋ぐと、より一層効果が出るとのこと。

 また、ステレオスピーカーを内蔵しているのも、この手の機械では珍しい。
 レグザからの録画番組抜き出し機能「レグザリンク・シェア」など、モバイルプレーヤーとしての利用を想定しているのかもしれない。

 その他、Webカメラも内蔵しており、Skype等に活用できる。

【モデルの相違】

■2011年秋冬モデル(R631 D)

 R631の中身はR731の2011年秋冬モデルに近い。

 Sandy Bridgeという、2011年に登場した第2世代Coreiシリーズを採用している。

 Intel HM65Expressチップセットベース。

 CPUはSandy Bridgeアーキテクチャの超省電力版Core i5-2467M(1.6GHz〜2.3GHz)。

■2012年春モデル(R631 E)

 ん?何が変わった?

■2012年夏モデル(R632 F)

 CPUが2012年に登場した第3世代Core iシリーズのCore i5-3317U(1.7GHz〜2.6GHz)に変更。開発コードはivy bridge。

 いずれも2コア/4スレッド キャッシュメモリ3MBという仕様は同等。

 筐体色にシャンパンゴールドが増えた。
 従来からのシルバーにはバックライトキーボード搭載。

■2012年秋冬モデル(R632 G)

 プリインストールOSをWindows 8(64ビット)に変更。

 Core i3-3217U(1.8GHz)の下位モデルが追加。

【改造情報】

 本機のメインメモリとSSDは、メインボードの表面に装着されており、筐体を完全に分解して取り出さないと交換できないようになっている。

 2〜3年で使い切るタイプのパソコンと割り切り、増設などは考えないことをお勧めする。

SSD換装

 mSATAフォームファクタの超小型タイプが採用されている。

メモリ交換

 DDR3 SDRAMのスロットが1つ用意されており、分解できれば標準搭載されている2GBのモジュールをR631なら4GB、R632なら8GBのモジュールに交換できるかもしれない。

 残念ながら、オンボードの2GBは取り外しもできない。増設した部分はデュアルチャネル動作できないので注意。

【感想】

■人気は出ると思うが……

 Ultrabookのフォーマットに合わせた、スタイリッシュなモバイルPCなのだが、物足りないのは何故だろう。

 良くできているとされる、R73xシリーズの薄型版だからだろうか。

 デザインや機能の割り切り方に、Macbook Airがどうしても透けて見えてしまうからだろうか。

 もし、11.6インチ液晶の小型筐体版なら、R73xシリーズとの棲み分けも明確だが、同じ13.3インチ液晶を使い回しているので、今ひとつ存在意義がぼやけているように感じる。

 他のUltrabookと比べると、確かに値段が高いだけのことはあると感じるかもしれないが、R73xシリーズと比較すると、性能も劣るためかインパクトが弱い。
 この手のデザインやほんのちょっとの軽量性をアピールしたマシンは、過去に他のメーカーからも色々登場したが、どれも短命に終わっている。

 確かに格好は良いが、それだけでいいのかと考えてしまう。


リンク

ウルトラブック dynabook R631 (2011年9月)

ウルトラブック dynabook R631(2012年2月)

ウルトラブック dynabook R632(2012年6月)

ウルトラブック dynabook R632(2012年10月)

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作成日:2011/11/15
最終更新日:2014/3/10

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