打倒レッツノート
dynabook SS SX/ SS 1600シリーズの真実


【概要】

TOSHIBA dynabook SS 1600

dynabook SS 1600シリーズとは

 dynabook SS 2000シリーズは、薄型の高級感ある筐体で高い評価を得たが、PANASONICのLet's note(レッツノート)シリーズと比較したときに

 ・設置面積(底面積)が大きい
 ・バッテリー駆動時間が短い
 ・剛性が弱い(液晶の破損原因につながるため)
 ・価格が高い

 といった弱点を指摘されてきた。

 そういう質実剛健さを要求する硬派(?)なユーザーに対する東芝からの回答が、dynabook SS SX / SS 1600シリーズであった。

■微妙な進化

・dynabook SS 1600→dynabook SS 1610での変更点

 CPUが第一世代のBaniasから第二世代のDothanに変更された。

・dynabook SS 1610→dynabook SS 1620での変更点

 チップセットが855GMから855GMEに変更された。

 また、この時点でCentrinoの認定条件が変わったためか、Centrinoモデルが存在しない。

■コンシューマモデルのdynabook SS SX

 コンシューマ用として、ほぼ同等のスペックのdynabook SS SXがあるが、型番の付け方が分かりづらい(恐らく、上記の仕様変更によるものだろうが)上に、dynabook SS 1600シリーズ、dynabook SS S20シリーズ、dynabook SS S30シリーズに対応するコンシューマモデルが全部「dynabook SS SX」にされてしまっているため、区別し辛い。

 SS SXが1スピンドルモデルの総称らしいのだが、それなら後ろの数字をもっとわかりやすくすべきだと思う。

■世界最軽量モデル

 Let's NoteのTシリーズより軽い事をアピールするためか、コンシューマモデルには「SX 210/LNLN」という型番で、1kgを切る世界最軽量モデル(2003年11月当時12.1型液晶ディスプレイ搭載ノートPC対象。)が存在した。

 標準の1.1kgに対して995gで、何か無理矢理1kgを切らせたことが見え見えなのだが、実際に行われていたのは以下3項目。

・ハードディスクを1.8インチに変更(それもシングルプラッタの20GBモデル)

・無線LAN機能の廃止(MiniPCIのボードとアンテナが不要になった)

・CFカードスロットの廃止

 カタログをにぎわせただけで、売れなかったのだろう。マイナー後のモデルに軽量タイプは存在しない。

 モバイル重視の軽量モデルこそ、ホットスポットで使うための無線LAN機能や、通信カード用のCFカードスロットが要求されるように思うのだが、この辺りに東芝の見識が浅いと感じてしまう。志が薄っぺらなのだ。

【各機能ごとの詳細】

■処理性能について

・典型的なCentrinoマシン

 機種によって非intel無線LANモデルが存在するため、全機種Centrinoというわけではないが、モバイルPCとして標準的な構成である。

 法人モデルではPentium MとCeleron Mが選べる。

 CPU性能、グラフィック性能については、使っている部品で優劣が決まってしまう。
 購入する場合、できればPentium M搭載モデルが望ましいが、予算の都合等でCeleronモデルになっても、まあ満足出来ると思われる。特にビジネスユースの場合、そんなに気になるほど違わない。

 ファン内蔵のため、高負荷状態でも安定動作するのがビジネス用としては良い。(ライバルのLet's noteはファンレスで故障が少ないと言うが、発熱してCPUクロックがぐんぐん下がったり、手がとても熱くなったりという弱点を持っている事も忘れてはならない)

 基本的にはパーツの性能によって全体の性能はほとんど決まってしまうのだが、東芝のチューニングも悪くないはずである。

・グラフィック性能は普通

 チップセットのインテル855GMというチップセットを搭載した時点で、性能がどの程度かは想像できると思う。3Dゲームには向かないが、その他のアプリであれば必要十分な性能である。

・ハードディスクはGood!

 2.5インチハードディスク仕様のため、ディスクアクセス性能は全般的に良好である。消費電力の関係でスペックは控えめだが、廉価に高性能ディスクを搭載出来るようになる点はメリットが大きい。

 dynabook SS 1620では5400rpm仕様が標準のようだ。これは良い。

 ただし、世界最軽量モデルは1.8インチの激遅20GBモデルなので注意が必要。買ってはいけない。

■拡張性について

・薄さと引き替えに実用性アップ

 とにかく、インターフェースが多い。必要な物は全部揃っていると言って過言ではない。
 この手のモデルにIEEE1394端子は期待されていないと思うので、ほぼ完璧である。

【参考】

 dynabookのインターフェースの多さを示す画像をカタログより引用します。

 ちなみに、筆者が良く問題にするタッチパッドの位置関係は、きちんとホームポジションのセンターを基準に設定されていることがこの写真からも明らかである。


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・メモリ増設もごく普通

 ごく一般的な200PINのS.O.DIMMを1枚増設可能。855GM/855GMEなので、PC2100のDDR。

 Let'sのマイクロDIMMに比べて、若干サイズは大きくなるものの、入手性や価格でメリットがある。

 オンボード256MBは正直増やしてくれても良いと思うが、WindowsXPを使う限りは上限1280MBまで増設すればほぼ事足りる事と思う。

 Windows Vistaは内蔵グラフィックの性能からも対応は厳しいので、このまま使いつぶすのがGoodかと思う。

・ハードディスクドライブ(HDD)脱着は相変わらず楽

 最近東芝もLenovoもモバイルPCは1.8インチドライブにご執心だと思っていたが、dynabook SS 1600シリーズは最初に発表したときの超軽量モデル以外は2.5インチHDD仕様である。

 かつ、Let'sユーザーの場合に必要になるピン折りなども不要なので、分解のスキルさえあれば、ディスクの容量不足といったことにも対処できそう。

 分解手順は以下の通り。たぶん、この程度の説明で分かると思う。

 (1)キーボード上側両端のプラスチックの蓋を外した下から出てきたネジを2本外す

 (2)本体裏側からキーボード真ん中辺りに貫通しているネジを1本外す

 (3)キーボードを裏面のケーブルに注意してゆっくり持ち上げる

 (4)ハードディスクが見えるので、後は金具を押さえているネジ外してコネクタから外す

 (5)HDDに取り付けられている金具を外す

 分からない人はコチラで。

  アイ・オー・データ 写真で見てわかる 内蔵HD取付け講座 for dynabook SS

・USBが3個

 USB端子が3個付いている。右に2つと左に1つと、左右に揃っているので、使い勝手も悪くない。

 マウスと外部ドライブを装着した状態でも何か接続する余力がある。

・SDカードスロット

 今や必須機能。2GBまでのメモリが使えるので、ちょっとしたデータ交換に便利。
 携帯電話の母艦としても活躍が期待される。

・CFカードスロットも全機種標準

 通信カードユーザーには嬉しいだろう。筐体のサイズに余裕があるためか、こんな物も復活している。
 かつ、dynabook SS 2000シリーズのように無線LANと排他ではなく、完全に共存出来る。

 無線LAN内蔵モデルであっても、PCMCIAとCFのスロットを1本ずつ持っているので、購入するなら無線LAN内蔵モデルが良い。よほど無線嫌いの法人でない限り、わざわざ外す理由は無い。

・無線LAN標準

 法人モデルで、わざと無線LANを外さない限りは標準である。

 1600から802.11b/g対応であり、同時期に発売していたdynabook SS 2110の802.11bのみというスペックと比べると、明らかに設計が進んでいる感がある。

 また、Centrinoではなくなるが、dynabook SS 1620のa/b/g対応は安心感がある。

 世界最軽量モデルには無線LANが設定されていない。

・モデムも標準

 ホテルでも無線LANが普及し、そして公衆電話が減った今、出番が大分減ってきた感があるが、全世界で使えるモデムが未だに標準搭載されている点は、いざという時の安心感につながる。

■可搬性について

・本体剛性

 分厚くなったため、全く問題なし。

 dynabook SS 2000シリーズで不評だった黒シミ対策も、液晶側の歪み代をたくさん残すというやり方でクリアしている。当初、液晶の下半分だけシミが出ず、筐体が薄い上半分はシミが出るのでは……と心配していたが杞憂に終わった。かなり酷使された個体でも問題無いようである。

 同時期に発売されていたLet's note T2の天板を押すと、背面にリブが入っているのか、全然凹まないのが分かるが、本機は容易に凹む。ただし、傷になるほどではない。設計思想の問題だけだと思うが。。。

・スリムショックではないが軽い

 dynabook SS 1600 268mm(幅)×210mm(奥行)×27.8mm(最薄部)〜34.6mm(高さ) 1.1kg

 バッテリー駆動時間が延びて、インターフェース類も増えているのだが、重量はdynabook SS 2100から変わっていない。

 見た目より遙かに軽い上、バッテリーが飛び出たりしていないため、分厚いことは事実だが可搬性は悪くない。

 ちなみに世界最軽量モデルは前述の通り995g。

・標準的なバッテリー

 中容量のバッテリーが標準で付く。5時間ぐらい持つことになっており、普通に3時間ぐらいは使えるため、通常利用には問題ない。大容量バッテリーがラインナップされていれば良いが、スペアをもう一本持っていればとりあえず何とかなるだろう。

■使い勝手

・キーボード

 まず、キーボードについてはこんなもんと言えばこんなもん。端の方のキーが狭くなったり、縦方向が圧縮されたりしたので、dynabook SS 2000/2100シリーズを使っていた人間には不評だが、現在の基準から行くと「並」ぐらいか。

 キーピッチは19mmと標榜しているが、縦方向は16.5mmである。本田雅一の週刊モバイル通信で、SS2100シリーズと並べて比較している写真があるので、こっそり転載しておく。

数字キーの上が揃っているのに対し、最下段がずれている点に注目。

 

 競合するLet's Noteのキー形状に近くなったわけだが、Let'sがキートップ形状のおかげで売れないという話は聞かないので、営業的にも問題ないと思われる。

 ただ、ストローク値は変わっていないのだが、キータッチも何となく安っぽくなったようだ。慣れるまで、打鍵ミスが時々発生してしまう。

・タッチパッド

 当初はマウスボタンが押しづらいと思ったが、ロットによる問題か、或いは使い込みの問題か、はたまた部品が改良されたのか、dynabook SS 1620を触ったら押しやすくなったように思った。個体差か?

 横に細長いので、押す場所によって力がうまく入らないということのようだ。

・リカバリおよびハードディスク消去機能

 法人用モデルでもハードディスクリカバリが標準。CDにすると、若干値上がりしたので、よほどの事がなければ選んでいないだろう。

 キーボードの「0」キーを押しながら電源を入れることでリカバリメニューが表示される。

 特筆すべきは、ハードディスク消去モード。昨今、売却や廃棄の際にハードディスクに情報を残さないようにと厳しく言われているが、本機は標準でアメリカ国防総省推奨方式での消去が出来るようになっている。

 Let'sノートや本機の標準消去は恐らく0を全セクタに書き込むだけだが、業者が本気で残留磁気のピックアップなどをすると、データが吸い上げられてしまう恐れがあるため、場合によってはこちらをお勧めする。

 また、標準の消去モードも、HDDに不良セクタが出来た場合に代替セクタ処理を強制的に実施させる為に使える。

・筐体

 カバンに入れるのは薄い方がいいと思うが、他社製品並。

 液晶はフラットまでは倒れないが、開いたときに下方へ折れ込むL字型のヒンジのおかげもあり、案外よく開く。

■その他

・保証について

 法人モデルはオプションで3年保証が付けられる。3年に1回ぐらいはHDD故障が起きてもおかしくないので、付けておくことが望ましい。

 (販売終了後に言っても仕方ないんだけど……)

・トラブルについて

 dynabook SS 1610モデルを使っている人は要注意。HDDを接続しているフレキシケーブルに強度不足の物が使われていたとのことで、早い人なら購入直後に起動不良が生じる。

 HDD故障との見分けが付きづらいが、突然前触れもなく起動しなくなる事が発生したら、さっさとクレーム修理に出すのが宜しいかと思う。ケーブル交換だけなので、HDDは消されない。

 また、HDDそのものが故障した場合も、予防保守と称して交換してくれた。

 結構な確率で発生するトラブルで、筆者が会社で購入した分の1/4ぐらいはこの故障で修理に出している。幸い、3年保証をつけているので無償対応して貰えるのだが。

 本来はリコール物の致命的な欠陥なのだが、東芝は放置しているようだ。せっかく良い機種なので、悪評が立たないうちに何とかしてほしい。

 保証切れ後は恐らく有償対応になるが、所詮ケーブル1本なので、安く交換して貰えるのではないかと思う。


リンク

dynabook SS SXシリーズ(2003年12月)

dynabook SS SXシリーズ(2004年7月)

dynabook SS SXシリーズ(2004年10月)

dynabook SS 1600シリーズ(2003年12月)

dynabook SS 1600シリーズ(2004年1月)

dynabook SS 1610シリーズ(2004年7月)

dynabook SS 1610シリーズ(2004年10月)

dynabook SS 1620シリーズ(2005年8月)

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作成日:2006/8/28
最終更新日:2008/10/7

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