2002年当時で厚さ20mm以下! 最薄に挑戦した実験機
TOSHIBA Dynabook SS 2000/2010/S4/S5/S6


【Dynabook SS2000の概要】

■Dynabook SS2000とは

・MURAMASA対抗機

 超薄型パソコンは、古くは三菱電機Pedion、そしてDynabook SSシリーズがその代名詞だったが、SHARPが可動キーボードを搭載したMURAMASAで、超薄型パソコンの新記録を樹立した。

 「スリムショック」を標榜するSSシリーズが薄さで他社の後塵を拝すわけにはいかない……ということで作られたのだろうが、先進機能を取り込みすぎて、「サブノートPC」としての性能は一部退化した感すらあった。

■法人向けと個人向けの差異他

・Dynabook SS2000 DS75には注意!

 最初の法人モデルは、メインメモリが128MBしか搭載されていなかった。これは、直前のSS3470と同等レベル積んでおけば良いという判断だったのだろうが、実際にはグラフィックチップに16MB程度メモリを持って行かれる仕様だったため、明らかにスペックダウンである。

 同じ型番でも、直後に256MBモデルが登場しているので、中古Dynabookを購入するときは要注意。

 また、オンボードの搭載量が小さいということは上限も低くなってしまうということで、最大384MBではWindows XPを快適に動かすのが厳しい。

【各機能ごとの詳細】

■処理性能について

・CPU

 Pentium III-Mを搭載する。Dynabook SS2000(DS75)/S4では750MHz、SS2010(DS80)/S5で800MHz、最終型SS 2010(DS86)/S6で866MHzとなった。

・グラフィック性能

 チップセットとして、Trident社製 Cyber ALADDiN-T + ALi社製 M1535Bを採用したため、グラフィック機能はCyber ALADDiN-Tを使うことになった。

 この当時のモバイルPCに、3Dグラフィック性能を期待してはならない。

・ハードディスク性能は低い

 本機がパソコンとして初採用した1.8型ハードディスクの性能は、明らかにDynabook SS 3400シリーズで採用されていた2.5インチドライブより遅かった。

 消費電力は低く、高さも5mmと低かったようだが、それ以上に速度が遅いのは致命的だ。

■拡張性について

・メモリ増設

 独自仕様のSDRAMで、128MB若しくは256MBを増設可能。

 オンボードと合わせて最大512MBとなる。最大まで搭載することで、Windows XPを動作させても何とか支障ないレベルになる。Windows 2000であれば余裕だが。

 この上限512MBという仕様が、Windows2000世代の設計だなぁと感じさせる。後にウイルス対策ソフトを導入するのも、ミニマム512MBなんてことになってるので。

 入手性の悪さに注意!

・ハードディスクドライブ(HDD)脱着

 脱着は簡単だが、入手性に難があった。また、当初は5mm版しか無かったので、増設する場合に8mm厚のモデルが使えるかは若干疑問である。

 (追記:SS 2000にも8mm厚のディスクを搭載した情報もあるので、問題無さそうです)

 なお、HDDの見分け方は定規を当ててみなくとも、コネクタ部分に対してディスク部分が盛り上がっているのが8mm厚、全体が平ら(丸いモールドはある)なのが5mm厚である。

・USB

 USB端子が3個付いているが、Dynabook SS DS75ではUSB1.1までの対応にとどまっている事に注意すること。DS80からは、USB2.0対応になっている。

 対応ドライバの提供でアップデートできるという噂もあったが、結局確認できていない。速度が速いか遅いかだけなので、遅くても構わなければUSB端子は利用できる。CD-ROMの利用や、マウス・キーボード程度を使うぐらいなら問題ない。

・SDカードスロット

 登場当時はホントに必要かと思っていたが、携帯電話に標準搭載されるようになってからは、CFスロットよりも重要な装備となった。1GBまでのメモリが使えるので、ちょっとしたデータ交換に便利。
(どうも1GBまでで、2GBは対応していないみたい)

・赤外線ポート

 筆者は使わないのでどうでもいいが……付いている。

・その他

 プレゼン等で必要になるCRTコネクタは標準装備。変換コネクタ等の余計な物が必要ない。

 IEEE1394が無いが、利用頻度を考えると無くても良い。

■可搬性について

・本体剛性

 薄さが強調されていたが、剛性は若干頼りない印象。薄すぎてぺなぺなという感があるが、実際に液晶に黒シミが出来やすかったり、液晶とキートップの間に付属の布を挟んでおかないとキーが液晶に当たり、傷だらけになってしまうとか、問題多数。

 端の方を片手で持って持ち上げると、ヤバイと思ってしまう、そんなマシンである。

 まぁ、パキッと折れたとか基盤が割れたなんて話は聞いたこと無いけど。

・サイズ

 286mm(幅)×229mm(奥行)×14.9mm(最薄部)〜19.8mm(高さ) 1.19kg

 実際にはA4サイズより若干大きいが、薄い事もあって鞄には入れやすい大きさとなっている。

 特にスリムショックの名の通り、他社製品では20mm台後半〜30mm台の厚みがあるのに対して、本機は20mmを切る薄さに、性能を押し込んだところが立派なのだが、剛性が犠牲になりすぎた感がある。

 Dynabook SS 2100 / Dynabook SS S7ではこの反省から剛性が見直されている。

・バッテリー

 標準バッテリーは、1時間以上余裕で使えるし、熱対策がうまくなったためか劣化も以前ほどではない。
 ただ、持ち歩くのであればオプションの大容量バッテリかACアダプタのどちらかを用意した方が良いと思われる。

・圧迫に弱い

 上蓋を押されると、バックライトの反射板が損傷し、黒いしみとなってしまう事がある。
 一応保証対象だったようだが……Dynabook SS シリーズの持病である。

■使い勝手

・キーボード

 モバイルノートとしては例外的な、デスクトップと全く同等の19mmピッチを採用。

 特筆すべきは、他機種では幅を縮小されがちな右端のキーまできちんと同じサイズであること。

 ストロークはDynabook SS 3400シリーズの2mmから1.7mmに減ったが、しっかりしたタッチになって、IBMとは別の意味で良好なタッチである。

・液晶

 12.1インチの低温ポリシリコンXGA液晶。

 何よりも可搬性の欄でも述べたが、黒シミが最大の欠点。使い込むと、黒くぼんやりした影が斑点のように表示されるようになってしまう。筐体剛性が絶対的に足りない。

【改造情報】

・HDD・SSD換装

 東芝1.8インチ50pinタイプのHDDなら交換可能。5mmでも8mmでも多分問題ない。

 希少で割高になるが、SSDも存在する。但し、本機のインターフェースはUltra66なので、本来の性能が発揮できるわけではない。

 CFを使った似非SSDも可能だが、16GB以上はプチフリ(俺的には盛大フリーズ)が発生するMMCモデルがほとんどなので、お勧めはしない。

・クロックアップ

 無理。CPU交換なんて無理。

・内蔵無線LANモジュール

 バラバラにする覚悟さえあれば、無線LANカードはminiPCI接続されているため、802.11b→802.11gに更新する事が可能である。

・独自メモリの入手性

 探せば今でも入手出来ると思うが、Ztypeという独自仕様のために割高である。(追記:元々2006年頃の記述なので、2012年現在はオークション等で気長に待つ以外は入手不能)

 最初はカタログだけで出荷すらされていなかったので、それを思えばまだマシかもしれないが。

 東芝のサポセンに出荷状況を教えろと詰め寄ったら「チチブデンキに聞いてくれ」と言ったのには笑った。

 Dynabook といえばチチブデンキという神話を裏付けるエピソードだ。

【感想】

 どうしてもdynabookではなく、旧ロゴのDynabookが欲しいということでもなければ、SS2100シリーズ(S7〜S9)をお勧めする。

 薄さやキータッチ等はそのまま、一般的なSO DIMM形式メモリの採用、インテルのチップセットと高性能なPentium Mを搭載とまぁ、ほぼ別モンなので。


リンク

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作成日:
最終更新日:2012/10/19

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