HDD交換(スワップ)手順

新しいハードディスクと現在使用中のハードディスクを交換し、
新しいハードディスクを起動ドライブにするためのテクニックです。

Windows95/98時代の記事ですが、もし古臭いPCを復活させる場合は参考にしてみてください。


ハードディスクを増設・交換する方法について解説します。
当然、新しく買ったハードディスクを起動ドライブにすると思いますので、入れ換え方法まで解説します。

1.購入

 自分のパソコンにどの規格のハードディスクを増設するか決定する。

 486初期(DX2登場の頃まで)のPC
  E-IDE非対応のため、540MBまでのドライブしかIDE接続できない。
  速度も遅いため、E-IDEカードかSCSIカードを増設し、そこに接続する事が望ましい。

 486中期〜Pentium初期(120MHz登場の頃まで)のPC
  E-IDE対応ながら、2.1GB〜4GBまでしかBIOSが認識しない事も多い。
  (BIOSアップグレードにより対処可能な場合もある)
  そもそも転送速度自体も遅い(PIOモード2〜3)ため、E-IDEカードかSCSIカードを増設し、そこに接続する事が望ましい。

 Pentium中期(MMX登場の頃まで)のPC
  E-IDE対応ながら8.4GBまでしかBIOSが対応していない物がある。
  UltraDMA/33非対応のチップセットを搭載している物も多い為、最新ドライブの性能を完全に発揮させられない事がある。

 最近のPC
  容量のハード的な制約は現時点では無いに等しいが、そのうち発覚するかもしれない・・・。
  UltraDMA/66対応ドライブが今後登場してくるが、既存マザー(チップセット)はまだ対応していない。

 メルコの製品カタログの巻末に、NEC・富士通・IBM主要機種の対応状況を紹介してあるので参考になる。但し、4.3GBまでしか駄目と書かれているT3モデルに6.4GB搭載した実績があったりして、100%信用できるとは言い難い。

 回転数が速いドライブを求めて、むやみに7200rpm以上のドライブを求めようとする人もいるが、7200rpmクラスになると発熱も馬鹿にならないため、ディスク自体の冷却をきちんと行う必要がある。
 専用ファンが付いた5インチベイに入れるなどの工夫をしないと、1年以内に壊れたりするので注意する。
 ちなみに、インターフェースの速度以上に速くはならないし、古い7200rpmより最新の大容量5400rpmの方が高密度で記録されている分、シーケンシャルアクセスは高速となる事も・・・。
 個人的な意見ではあるが、非常識な速さを求めない人は、安くて使い勝手のいい5400rpmクラスの最新型を選べばよいのではないだろうか。

2.下準備

 DOSの場合、CONFIG.SYSにLASTDRIVE指定が無い場合、ドライブ番号の割り当てがEドライブまでで打ち止めになってしまう。
 必ずLASTDRIVE = [最終番号] (例:LASTDRIVE = Z)という記述を一行加えておく。
 ハードディスク増設でCD-ROMのドライブ番号がずれる事も注意。
 今後このような目に逢いたくない人は、デバイスマネージャからCD-ROM等リムーバブルドライブのドライブを任意のやや遠い部分に設定したりする。
 (CD-ROMをQとかにしてる人、多いですよね??)

3.IDEドライブの接続

 E-IDE規格では対応機器を4基まで内蔵できる事になっているが、筆者はハードディスクはプライマリに接続する2基にとどめる事をお勧めする。
 消費電力や発熱の問題が発生するため、古いドライブをいつまでも残しておく必要は無いと思う。

 既存ドライブがシングル設定になっている時はマスターに変更する。
 新ドライブはスレイブ扱いとする。

 買ったらまず緩衝材のプチプチの上などにHDDを仮設し、動作確認を行って、それからケースに取り付けるようにする。
 初期不良だったら悔しいから・・・。
 
 コネクタの先にマスタ、手前にスレイブを置くようにする。
 1番ピンはケーブルに赤い印が入っている方。
 逆差し出来るケーブル(爪やメクラ蓋が無い)も存在するので、既存のドライブを見て、ケーブルが正しくマザーボードに接続されている事を忘れずに見ておく。(逆差しは壊れる危険有り)
 ドライブは、通常電源コネクタに近い側が1番ピンとなっている。
 基盤等確認してもらえたらいいと思う。
  
 動作したら、筐体に取り付ける。(説明の都合で前後するが、この作業は領域確保・初期化を行い、スキャンディスク等でエラーチェックを行ってからの方が望ましい)
 通常、HDDの固定には「インチネジ」と呼ばれる、変なサイズのネジが必要になる。普通のネジだとちょっとゆるゆるになったり、ネジ山を破壊したりするので注意したい。

4.領域確保と初期化

 まずBIOSを起動し、IDE回りの設定を変更しておく。
 必ずプライマリのスレイブを認識させておく事。
 BIOSが認識していないハードディスクは使用出来ない。

 起動させたらStarting Windows98(95)という文字が画面に出ているタイミングを見計らってF8キーを押し、DOSモードで起動する。
 続いてプロンプト(C:\>みたいになってる奴)が出てると思うので、そこから「FDISK[Enter]」([Enter]はEnterキー押下の意味)と入力し、FDISKユーティリティを起動する。
 FDISKを起動したら、大容量ドライブのサポート云々と聞かれる事がある。これはWin95OSR2以降でFAT32を使用するか?という事である。
 筆者は起動ドライブに設定するのは時期尚早と思うが、以降のパーティションは一つにまとめた方が使い勝手がよさそうな気もするので、本人のフィーリングで決めれば良いと思う。

 FAT32のメリット

  クラスタサイズが小さくなり、無駄が減る。(FAT16では1パーティションが1GBを超えると、ゴミファイルでも16KB消費する)
  2TBまでのディスクを1パーティションで扱える。(FAT16は2GBでパーティションを分ける必要がある)

 FAT32のデメリット

  スピードが若干落ちる。
  MS-DOSやWinNTからそのパーティションを参照できない。(ネットワークドライブなら可)

 FDISKのメニューが表示されたら、真っ先に操作対象のドライブを新しく増設したドライブに変更しておく。
 既存のドライブに対しては何の操作も行わない。

 新しいドライブに、まず基本MS-DOS領域を確保し、ドライブを作成する。
 これが起動ドライブの入替えまで行った場合は新しいCドライブになるため、サイズを大きめにしておいた方が便利。
 FAT16で領域確保する場合は、2GB単位でしか取れないため、以降は拡張MS-DOS領域を確保し、論理ドライブの作成を行っておく。

 ドライブレターを確認しておく。

 再起動後、初期化を実行する。
 Windowsから行っても、DOSレベルで行っても構わない。
 マスタ側のドライブに拡張MS-DOS領域があった場合、ドライブ番号がマスタの基本領域→スレイブの基本領域→マスタの拡張領域→スレイブの拡張領域の順で取られるため、間がちぐはぐになる。単純に後ろに繋がっていくわけではないので注意する事。

5.ファイルコピーと起動フロッピーの準備

 初期化が完了したら、新しく増設したドライブの基本MS-DOS領域にあたる部分に、現在の起動ドライブの内容をほとんど全部コピーする。
 特に難しく考える必要もなく、起動ドライブのルートディレクトリ(通常C:\ね)をエクスプローラ等で表示しておいて、その内容を全てドラッグして選択し、コピー。その後、増設したドライブのルートディレクトリに貼りつけすれば良い。

 スワップファイル(Win386.swp)だけはコピー出来ないので、あらかじめ仮想メモリの設定でスワップファイルを新ドライブに移しておいてからコピーを開始するか、メモリを32MB以上(Win95の場合。98は知らん)搭載している場合は仮想メモリを使用しない設定にしておく。
(設定変更は「システム」のプロパティの「パフォーマンス」タブ内にある「仮想メモリ」)
 ついでに準備として、Windows起動ディスクを作っていない場合は必ず作っておく事。(「コントロールパネル」と「アプリケーションの追加と削除」)
 FDISKを起動できればいいだけの話しだけど・・・。

 アプリケーションをCドライブ以外にセットアップしていた場合で、旧ドライブを残した場合、大抵D:に旧ドライブが割り込むと思う。
 これらも後できちんと忘れずに処置してやる事。

6.ドライブの入替え

 準備が出来たら、ごっそりマスタとスレーブの設定を入れ替える。
 組み付け自体は特に注意は無いが、一つアドバイス。
 発熱の大きいドライブがある場合と発熱の少ないドライブを重ねて設置する場合は、発熱が大きい方を上に設置した方が良い。
 もしベイを離す事が出来るのなら、それがベストだが。

 ハードディスクは、制御基盤の上にモーターやディスク等の本体が載っているという構成を取る事が多い。そして、熱の大半はモーターから発生する。つまり、ディスク下部より上部の方がより熱くなるのだ。
 もし発熱量の大きいドライブを下に持っていくと、上側が猛烈に加熱されるようになる。また、隙間が無いので熱がこもりやすい。
 そのため、こもった熱が上に重ねたドライブの制御基盤を直撃し、破壊してしまう事があるのだ。

 発熱といえば、一昔前のQuantum製FireBallシリーズ。
 熱に弱いディスクの代表格はWesternDigitalのCaviar。
 筆者もこの手のトラブルをいくつか聞いております。

 接続が終わったら再起動し、BIOSでHDDを再認識させる事をお忘れなく!!

 入れ換えはここからが本番。起動FDで起動し、FDISKを起動。
 新しいドライブ(マスタにした奴)をアクティブにするのだ。
 これを忘れたら、絶対に起動できない。

 もう、コレだけで全く元どおりの環境を再構築出来るのである。
 新しいドライブが相性問題起こさない限りね。

 まぁ、Dドライブ以降があった場合も頭を使えばどうにかなるはず!

7.最終テスト

 以上の手順で、新しいドライブを起動ドライブとし、既存のWin95/98環境を全て移行する事が出来たと思う。
 正常動作が確認できたら、古いドライブのデータは削除するなり、フォーマットで抹殺するなり、またドライブを外してしまってもいいと思う。
 2GB未満の場合は、外した方がスッキリするかな・・・?

付録.SCSIの場合

 SCSIで増設する場合、どうあがいてもIDEが先に来るではないか!と悩む人がいるかもしれない。
 最近は、IDEよりSCSIを優先できるBIOSも出ているため、それらを使うことでどうにかなるかも。

 まぁ、FDISKのコマンドでアクティブにしたりとか色々試してみてください。(笑)


リンク

なし

作成日:
最終更新日:2006/10/21

パソコンハードウェア雑学コーナーへ

inserted by FC2 system