無料のオンラインソフトってどうよ

こんな便利なものを提供してくれる作者様に感謝!


【オンラインソフトの隆盛】

■かつてパソコンは高かった

 かつて、Drパソコン宮永 好道氏は「パソコンはソフトが無ければタダの箱」という名言を残した。

 パソコンを買うとき、人はハードウェアの価格ばかりに目をやりがちだが、実は実用に供するためのソフトこそ重要かつ金が掛かるという事を忘れてはならない。

 家庭用ゲーム機など、会社が倒れない程度に原価を回収するものの、ハードウェアは大赤字でスタートし、ソフトウェアで回収するビジネスモデルになっている。
 (従って、PS2をDVDプレーヤーとして使ったり、PS3をBDプレーヤーとして使われてしまうと、ソニーとしてはちょっと辛いはず)

 パソコンも、黎明期は自分でプログラミングするか、あるいは内容の割に高いソフトを購入して使うしかなかった。

 ビジネスソフトだって、ワープロソフトの松が98000円(12万だったっけ?)、表計算ソフトのロータス1−2−3が98000円だった。
 一太郎が58000円で登場したときに「安い!」と評判になり、アシストカルクの9800円は家で仕事をしたいサラリーマンに希望を与えた。

 ええ、パソコンセットも16ビットマシンで40万ぐらいはしてましたしね……。

 あの頃、パソコンがそのうち10万円以下で全部揃うようになって、ソフトもタダで手に入るなんて夢の時代を誰が想像しただろうか。

 パソコンソフトといえば、パソコンを取り扱っているショップに出かけていって、パッケージ裏だけ見て買うものだった。小遣いはたいてハズレを引いた日には、己を恨みつつ、それでもしばらくは遊んだものだ。
(そして、クソゲーを引き当てる天才が友人にいた)

 今やどうよ、わざわざ暑さ寒さを感じる事無く、パソコンの画面だけで情報収集し、ソフトを入手し、クレジットカード決済まで出来てしまう。

■流通革命

 ソフトウェアは形が無い。形がないから、わざわざモノとして流通させる必要が無い。

 しかしながら、かつてはエンドユーザーまで伝達する術が無かったので、フロッピーディスクだのCD−ROMといった器に入れて、手にとって貰えるようパッケージにこだわって、おまけなんかもたくさん付けた。不要と言われつつもマニュアルも製本された物が付属していた。

 メーカーから出荷された後の複雑な流通経路を考えると、利益を確保できる売上を確保するためにはそれなりの値付けをする必要があり、またその金額に見合う物質としてのモノが無いと納得して貰えないということもあったかもしれない。

 複雑な流通経路をたどる為、ソフトウェアの価格は非常に高価だった。
 さらに、多くのパソコンショップでは新製品全てを棚に並べる事など出来ないため、定番以外の商品は入荷されることなく、わざわざ注文しない限り目に付く事がなくなっていった。

 かつてはPC-9800シリーズの一人勝ち状態だったため、それ以外のマイナーな機種用のソフトになると、入手することは困難だったし、パッケージ化される物すら減っていった。

 その中で、80年代後半から90年代前半にかけてソフトウェアに流通革命が起きようとしていた。

 一つはソフトベンダーTAKERU(当初はソフトベンダー武尊)。ソフトウェアの自動販売機だ。
 ネットワークを通じてソフトウェアをダウンロード販売するというコンセプトは、時代を少し先取りしすぎた感があったものの、マイナー商品の流通ルート確立という意味ではとても有意義だった。

 当初は非常に使い勝手が悪く、30分以上もダウンロードを待ってソフトを買ったものだが、CD-ROMやHDDを内蔵する等改良が進められて、一般流通ルートでは見捨てられた8ビットマシンやX68000を長期間支えた物だ。

 もう一つはパソコン通信における、個人が作成したソフトウェアの流通である。

 それまで流通経路が無かったため、ほとんど人目に触れることの無かった個人が趣味で作成した小規模なソフトウェアが、全国規模のNIFTY-ServeやPC-VAN等のライブラリに集積されるようになった。
 また、草の根BBSと呼ばれた個人運営のホストに、趣味性の高いソフト・データが集積され始めたのもこのころだ。

 雑誌に掲載されたプログラムリストを必死で打ち込む必要もなく、通信費を負担すればソフトが手に入るということで、パソコンユーザーの裾野を大きく広げた事は間違いない。

 やがてこれらが「オンラインソフトウェア」として、商業目的の「パッケージソフトウェア」とは異なる新しいソフトウェアの入手形態として認知されるようになった。

 90年代まではネットワークインフラが未成熟だったこともあり、通信料や時間の問題があり、まだまだ誰もが気軽に……にはほど遠かったのも事実であるが、「JWCAD」や「WTerm」といった市販ソフトをしのぐソフトも登場し、また書籍化によってパソコン通信を始めていないユーザーにもその存在が広まり始めた。

 やがて、インターネットが日本で普及するのと入れ替わりに、パソコン通信は衰退を始めた。

 かつてNIFTY-Serveが担っていたオンラインソフトウェアの集積は、1996年にリリースされた窓の杜(厳密には前進の「秋保の窓」があったが)や、Vector Software Pack に引き継がれた。

 とはいえ、まだまだ20世紀はナローバンドの時代。ISDNでも64Kbps(今風に言うと0.064Mbps)だったため、まだまだ数MB程度のデータをダウンロードするのが限度だった。
 通信料も従量課金が大多数を占めていたため、繋ぎっぱなしは困難。(テレホーダイは23時〜8時のみ)

  しかし、2001年からYahoo BBによるADSLの価格破壊が始まり、インターネットを通じて数十MBクラスのデータをダウンロードすることも容易になった。

 オンラインショッピングのインフラが整備されたこともあり、とうとうパッケージ商品のダウンロード販売が行われるようになり、今に至っている。

■ソフトは無料!?

 かつては低機能なツール群もいちいち有償だったので、まだ比較的小規模なソフトハウスが生き残る隙間が多々あったが、マイクロソフトが片っ端に各種ツールをWindowsに取り込んだおかげで、小便利なツールのパッケージソフト市場は無くなった感がある。

 また、オープンソースソフトウェアの流れから生まれた「Linux」や、「Open Office」など、明らかに市販レベルのソフトウェアが無償で使える事態に至り、腕さえあれば実用的なソフトウェア環境を無料で手に入れられるようになってしまった。

 従来はソフトウェアそのものを売るというビジネスだった物が、だんだんサポートや総合的なインフラを売り物にするように変わってきた感がある。

 ビジネスのあり方が変わってきたことや、通信インフラの発達により必ずしもパッケージ販売が必須でなくなったこと、流通経路の単純化による相乗効果で、ソフトウェアは低価格化、無料化の方向に向いている。

 個人で使う場合は無料、法人からはサポート費用を継続的に徴収するという考え方は、考えようによってはとても合理的な考え方だと思う。高いサービスレベルを維持し、金のあるところから取るわけで。

 今後ビジネスアプリはASP化していくという流れを考えると、やはりモノに対してお金を払うというパッケージソフトの考え方は是正されていくべきなのかも知れぬ。

 元々ソフトウェアは形が無い物だけに、実はオンラインソフトという流通形態は、無駄を省いた自然な形なのかも知れない。

 流通コストを掛けないから、イニシャルコストを負担する必要が無い代わり、サポートや利用料という形で継続的に徴収される。 
 個人向けにも、キモになる部分を年次契約とすることで毎年継続的な収入を得るビジネスモデルが、ウイルス対策ソフトや年賀状ソフトで定着しつつあるし、あるいは広告媒体として活用されている物もある。

 流通から解放されることで、コンピュータソフトが書籍のビジネスモデルから、民放テレビのビジネスモデルである広告等の付帯物で稼ぐ形に転換することが可能になった。

 こうなると、個人レベルで作ったソフトを有料で配布するのはますます困難になったと言わざるを得ない。
 そこで、中途半端にシェアウェアにしようとするより、思い切ってフリーソフトとして配布し、作者として有名になったり、その後のビジネスに結びつける一施策と位置づける戦略が妥当と考える。

■プロが作ってるのに無料のカラクリ

 話があさっての方に行ってしまったので引き戻すと……個人が趣味で提供している物以外に無料で提供されているオンラインソフトは、

 ・ソフトの販売益そのものを目的としていないオープンソースソフトウェア

 ・宣伝目的で広く配布されるソフトウェア

 という感じである。

 また、無料のネットゲームは、基本料は無料で、特別なアイテムを購入する際に課金されるシステムを取っている事が多い。

 いずれにせよ、パッケージ売りと違って物が動かないので、流通・在庫・小売コストがかかっておらず、比較的少額の売上で再三に合うことから、参入障壁が低い。

■個人の無料ソフトとのつきあい方

 個人が提供されているフリーソフトについては、作者に感謝しながら便利に使わせて頂くのが良いと思う。

 そして、感想やレポートを作者に送る事が、作者に対する利用者の貢献になると思う。

 逆に、無料なのでサポートや思い通りの機能改良を期待することはできない。その点はわきまえるべきだと思う。

 また、バグや環境の相違によって正常動作しないことがあることも一応考慮した上で、使うか否か判断すべきと思う。

【フリーソフト(フリーウェア)】

■無料提供されている物です

 フリーソフトは、個人が趣味で作ったり、法人が非営利目的(多くは宣伝用)に作った物で、基本的に無償で利用することが出来る物。
 中には市販品よりも優れたものまであり、まったく恐ろしい世の中になったものだと思う。

 中途半端なパッケージ商品は既に売れなくなってますよね……。

 ファイル圧縮ツールや画像ビューワなどは、初心者であってもフリーソフトを入手される方が多い……というか、お金を出して買う人いませんよね。

 最近では動画保存ツール等も流行してるようだ。

 入手は各作者のホームページでもいいが、見比べる場合は「ベクター ライブラリ 」か、「窓の杜」が定番。

 前者は掲載されている種類が非常に多く、類似ジャンルのソフトタイトルを大量に集めているため、目的に合うソフトを見つけやすいことがポイント。
 ただし、片っ端からダウンロードして試すことになるので、面倒なこともあります。

 後者はレビューが充実しており、事前にソフトの内容を確認してある程度絞込みを行うこととなるが、数が限定されるため探しやすい。

【シェアウェア】

■無料ではありません

 シェアウェアも、作成者は個人であったり法人であったりして、ネット経由で提供していて自由にダウンロード出来るという意味では似たような物。

 有名どころではテキストエディタの「秀丸エディタ 」メーラーの「Becky! 」 等か。

 残念な事に、シェアウェアとしてリリースされる物以上に優れたフリーソフトがそこら中に転がっているので、ド定番商品以外はなかなか売れないんじゃないかな……って思っている。

【ダウンロード販売】

■パッケージ商品の中身(コンテンツ)だけ購入します

 シェアウェアと異なり、試用は前提にありません。パッケージ商品の中身だけオンラインで購入する形態です。

 今ではオンライン販売前提の商品も多数あります。

 箱は無く、マニュアルはPDFでの提供となることが多いです。

 その場ですぐ使い始めたい場合には有効ですが、マニュアルがどうしても必要そうな商品の場合、パッケージを買った方がきちんと製本されたマニュアルが入手できるので、結果的に利便性が高い可能性があります。


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作成日:2009/2/13
最終更新日:2009/2/14

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