【何故SS2100をレストア(修理・再生)するのか】dynabook SS 2100はdynabook SS S7やS8などと同じ、Centrino元年である2003年にリリースされたモデルだ。 パソコンの耐用年数は3〜5年……ということを考えると、とっくに陳腐化していてもおかしくないはずだが、少なくとも筆者はこのマシンを修理して使い続けたいという衝動に駆られる。 ・WindowsXPの推奨スペックは満たしている。 2002年にリリースされたWindows XP。Windows Vistaのリリースが2007年までずれ込んだおかげで、不動の定番OSになってしまった。Vistaに世代が移行しても、当分は主流という安心感。 SS 2000シリーズはメモリ搭載量や採用CPUの関係で「XPを快適に使う」には微妙なスペックだが、SS 2100世代になれば、メモリ768MBになるので少し余裕が出てくる。非公式に1280MB載る事になっており、実際に1GBのモジュールが正しく認識される。 また、超低電圧版CPUは案外処理性能が向上してない物である。そもそも、モバイルPC故に、過度のスペックを要求していない。デュアルコアCPUを生かしたアプリが多いとは思わないし、32bit終焉の日までは何とか頑張れそうだと思う。 ・操作系が良いまず、SS 2100シリーズの魅力はキーボードにある。 19mm×19mmで、かつ縮小キーの無い余裕あるキートップや、ThinkPadより軽いが適度なクリック感のあるキータッチ等、キーボードの良さがSS 2100シリーズの魅力である。 また、タッチパッドの中心ががキーボードのホームポジション(FキーとJキー。突起が付いている)の真下に位置しており、左右のどちらの手でも快適に操作出来るなど、本当にきちんと考えられている。 ・可搬性ビジネスバッグにパソコンを入れる時、裸で入れるならともかく、インナーバッグを使う事を考えると、設置面積の小さなPCより、薄いPCの方が圧倒的に持ち運び易い。 また、セカンドバッテリーを使えるため、携帯性と駆動時間の要求に応じてスペックを切り替えられるのも魅力。 無論、黒シミ病とは戦う必要があるのだが。 ・家の中で持ち歩くにぴったり無線LAN、結構使えるバッテリー、軽量シャーシに加え、良く開く液晶パネルは美点である。ほぼ180度展開できるため、変な格好やキーボードスタンドに立てかけてパソコンを使いたいといった特別なケースにも対応出来る。 ・結論数々の数値に表れない使い勝手の良さを全て満たすマシンは今のところ存在しない。 多少のコストを掛けてでも、直す価値はあるのだ! 【SS2100との正しいつきあい方】■SS2100の弱点と対策方法・メインボード筆者の手元には起動不良マザーがごろごろしている。 もしかしたら、5〜6年を経過した辺りからチップコンデンサの劣化等が出てきているのかもしれない。 オークションを見ていても、起動不良のマザーが出品されていることがあるが、直し方が分からない上、メーカーでもAssy交換するパーツなので、手を出すのはよほどの強者以外避けた方が良さそう。 もし、直し方を見つけた人は筆者に声を掛けて欲しい。 筆者も、2枚ほど直して欲しいのがあるから。(笑) ・液晶パネル 黒シミが出ているパネルが非常に多い。出ていない機体はほとんど存在しない。 液晶パネルそのものは一部ショップで入手する事が可能なため、バックライトの劣化等も考慮すると、アッセンブリー交換してしまった方が良いと思う。 ちなみに、SS 2100系の液晶パネルの型番は東芝松下の「LTD121EC3L」であり、実はSS S20/S21と同じという噂もある。(デマのような気もする) SS2000系は東芝松下「LTM12C328」であり、SS2100系に流用するためにはコネクタの位置が異なるため、接続ケーブルの加工が必要とのこと。 パネル自体は秋葉原の某店で取り扱いがある。約3万円。 実際に自力で修理することもできなくはないが、危険な事は事実。気が短い人、不器用な人、おっちょこちょいな人はやめた方が良い。 ちなみに、管理人 モイラ の挑戦レポート *Dynabook SS 2100 (S7) 黒シミ 白シミの修理へトライに手順など書かれているが、「最悪割っても構わない」ぐらいの気合いでやるか、手を出さないかのどっちかである。 筆者は中途半端な気持ちでやっていて、液晶に亀裂を入れてしまった。(涙) ・ハードディスク20GB、30GBのモデルはハッキリ言って極端に遅いのでお勧めしない。このハードディスク性能も、SS2000系の評価を落とした原因だが、40GB以降は随分マトモになってきている。 中古のハードディスクはどれだけ劣化しているかも分からないので、買い換えるつもりでいた方が良いと思う。 最近のSATAモデルは利用出来ないため、パラレル接続の60GB〜80GBモデルを利用するべし。(タマ数が少なく入手困難だが) なお、1.8インチだからといって、日立(IBM)製を購入すると形が違うので、必ず東芝モデルを購入するように。 また、2008年になってSSDが普及し始めているが、CFカードを1.8インチパラレルコネクタに変換する基盤が安く出回るようになった。高速型CFカードによる似非SSDを使って0スピンドルにしてしまうのもいい。当然、この変換基盤も将来入手困難になると思われるため、物があるうちに押さえておこう。 ハードディスクさえ良ければ、dynabook SS2100は当分現役である。 1.8インチSSDで、東芝50pinのインターフェースを持つ物も2012年現在僅かに残存している。iPod用に需要が有るらしいので、あとしばらくは入手出来るかもしれない。 ・キーボードキートップは最初ざらざらしているが、有る程度使うとテカテカになる。さらに使い込むと、キートップの文字が剥げる。残念ながら最近のLet's Noteのようにレーザー刻印にでもしない限り回避不能な問題である。 見た目だけで分からないのが、ゴムの劣化。使い込むと腰(クリック感)が無くなってくる。 これも一番確実なのは新品交換だが、キートップが外れていたり、一部キーが効かないといった問題が無いならそのまま使って良いと思う。 SS2000とSS2100では背面のネジ位置が違うものの、ケーブルの位置等が同じため、ほぼ問題なく流用可能である。 また、ジャンクで水没キーボード等が出てきた場合、キートップがキレイなら交換用に入手しても良いと思う。 新品はおでん缶で有名なチチブデンキに行けば7350円で入手可能。。。 たまにオークションで高く売ってる人がいるので注意。東芝用パーツの新品は、大抵チチブデンキで入手可能。 ・ACアダプタケーブルが断線しているのを我慢して使うのは辛いので、サードパーティ製の互換品を買うか、ジャンク屋で買うのが良いと思う。 dynabook用で丸ピンのACアダプタなら、たいてい流用可能なので、大きさを言わなければ比較的入手は容易。一応、純正は3Aだが、2Aでも普通に使っている限りは問題無かった。省エネマシンなので。 バッテリー薄くするため、リチウムポリマー電池を採用している。これは、確か三菱のPedionが最初に使ったと思うが、自由に整形出来るため、薄型PCにはぴったりである。ただし、値段が高くなったり、容量が小さくなったり、再生サービスの対象にならないといった問題はあるのだが。 標準バッテリーを買うなら、SS2110以降がおススメである。何故なら、SS2100は容量が1600mAだが、SS2110のものは1760mAに増量されているからである。そして、当然ながら互換性は確保されている。 また、大容量バッテリーはたとえバッテリーが死んでいたとしても、キーボードの角度調整には使えるので、ゴミと思わず1つは持っておきたい。 ・タッチパッド利用頻度が高いと表面がテカテカになったり、爪でひっかいて傷つけると、そこを起点に表面のビニールシートが破れてくる。破れても使えるが……。 これはジャンク品から剥がしても別に問題ないが、SS2100系とSS2000系は互換性が無いので注意。(色が違うので見たら分かるが) ・バックアップ電池リチウム電池がタッチパッド下辺りに入っているが、これが劣化すると、電源供給が無くなる度にカレンダー再入力を促すダメPCになってしまう。(逆に一旦設定してしまえば、電源を切らすまで有効だが) さらに、起動不良……BIOS起動すら出来ずに憤死する原因にもなる。 ・ACアダプタをつなぐと、バッテリーがフル充電でもないのにバッテリーランプが緑になってる というような症状が出たら、電池も疑ってみよう。 こればかりはジャンク品がどこまで持つか分からないので、新品を調達した方が良いと思う。1000円くらいだ。 もちろん、新しいモデルのジャンクであれば、絶対的な利用年数が少ないため、使える可能性も高いが。 ・筐体 マグネシウム製の筐体は割と丈夫だが、元々モバイル用なので、特にレンタル上がりの場合は傷だらけになっている事が多い。 美品は少ない上、新品パーツは結構高いので、ある程度の小傷はあきらめる度量が必要だ。 ・BIOSパスワードロック電池を抜いていたら解決しそうな気がするが、ダメなら秋葉原の東芝PC工房に持ち込んで直してもらうべし。 身分証明書の提示と3000円程度の手数料で、すぐ直せるとのことである。 なにせ、PC修理に出すと、Windowsのパスワードは依頼者から教えてもらうくせに、BIOSパスワードは勝手に解除しちゃうと言ってるぐらいだ。 メーカーにとっては、たいした問題ではない。 ■分解の手順素人よけに、写真は掲載しておりません。(嘘、単に面倒なだけ) 文字で推測してください。 また、分解の際に一番注意しないといけないのは、焦りです。 時間をたっぷり掛けて、落ち着いた状態で作業しましょう。時間が惜しいなら、素直に修理に出しましょう。 ・ハードディスク交換 底のネジ2本で固定されている、丸いプレスが施された板を外せば出てきます。 ピンがたくさんあるパラレルタイプが装着できます。最近主流のZIFコネクタタイプはあきまへん。 HDDをくるんでいるゴムは衝撃吸収の大事な役目を担っているので、ちぎれても巻いておくように。 2011年頃から、経年劣化で溶ける物も出てきた。とりあえず、溶けたゴムは無水アルコール(エタノール)で落とせるが、ゴムはどうしようね。 ・メモリ交換DDR266(PC2100)の200pin S.O.DIMMが1枚増設出来ます。これも蓋を外すだけ。 斜めに差し込んで、奥まで刺さったら両端が爪に掛かるまで倒すだけ。説明書にも有るように簡単な作業。 ・キーボード交換キーボード中央付近を裏から貫通しているネジで固定しているので、あらかじめ外しておくこと。 電源ボタンのあるプラスチックの蓋を、精密ドライバーの先等で持ち上げて、爪を一つ一つ外していく。 ネジ2つで固定されているので、ネジを外します。外したら、裏のフラットケーブルを外す必要があるので、パームレスト側にケーブルを引っ張らないようゆっくり倒します。 コネクタの両端を軽く手前に引っ張ると、爪が動いてケーブルが抜ける状態になります。 ・キートップ交換精密ドライバー等で手前角からやや斜めに力を掛けて持ち上げます。(パンタグラフを持ち上げて伸ばさないように。) キー底に入っている水色のゴムの紛失に注意しながら奥も外します。 ※下手にやると破損させたり、キータッチが元に戻らない可能性があるので、あまりお勧めしません。 ・タッチパッド交換 本来は、裏蓋を外して丁寧に爪を外した方が良いです。 面倒な方はキーボードを外した後、隙間から手を突っ込んで強引に引っぺがしてください。(笑) タッチパッドの黒色部分は両面テープ(!)で固定されているので丁寧に外します。 メインボードへのフラットケーブルは、コネクタ部分を起こしてからケーブルを抜くタイプです。(キーボードは手前にずらす感じ、こちらは持ち上げる) ・電池交換 裏蓋を剥がし、パームレスト裏で小さなスピーカーの横にある緑色の薄い物体がカレンダバックアップ用リチウム電池です。 白いコネクタは引っ張れば抜けます。差し込む時は、良く上下を確認しましょう。 ・液晶パネル交換液晶パネルの枠にある、目隠しの蓋やゴム蓋を全て剥がし、ネジを外します。できたら、枠の端から少しずつ揺すりながら爪を外していきます。 液晶パネルは信号線とバックライト用の線の2本の線が接続されているので、注意して外します。 下手に力を入れてケーブルを切ってしまうと、メインボードを外す辺りまで分解しないとケーブル交換出来ないので要注意。 ・分解修理マニュアルについてヤフーオークションでmaxmarsarさんが出品されている機種別の分解修理マニュアルを入手しました。 写真の種類も多く、ネジや爪の確認が出来るので、「愛機」を自分でメンテナンスしたり、壊れてもオークションで部品を入手して復活させたいという気持ちのある方には大変良い物だと思います。 黒シミを直すための液晶の分解手順も書いており、「自信の有る方」という曖昧な言葉に蛮勇を奮って痛い目に遭うぐらいなら、あらかじめこちらを読んでおくのがいいと思います。 (痛い目に遭った経験者として、凡人にはリスクが大きすぎるのであきらめることをお勧めします) ■本体・パーツの入手方法・中古ショップ発売から3年以上経過したことで、リース上がりの機体が中古市場に出回るようになった。 確実に動作する母体が欲しい場合は、中古ショップが狙い目である。特にSS2100シリーズは液晶の黒シミ現象によって(不当に)低い評価を受けているので、案外Let's NoteやThinkPadより安価に入手することが出来る。 多少汚くても、リカバリCD付きの法人モデル(SS2100)が見つかれば買いだと思う。 ・オークションYahooオークション等に出品されている物は、個人で大切に使っていた物と、レンタル・リース上がりの横流しが混在している。 パーツ供給が豊富なため、完動品狙いではなく、ジャンク狙いも面白い。 液晶とハードディスクは新品にするつもりで、他のパーツが丈夫な物を選ぶのは賢いかもしれない。 液晶が綺麗なモデルは高い。 ・チチブデンキ東芝パーツといえばチチブデンキ。(世間一般ではおでん缶の自販機の店らしいが) 新品パーツに在庫プレミアムが付いているため、確かに高いパーツも多いが、要所要所で新品パーツを使いたい場合はここをうまく利用すると良い。 |
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作成日:2008/2/3 最終更新日:2009/9/21 |